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 虚空の惑星
「エレノアはどうして街を出ちゃうの? ……あたちたちが、嫌いになったの?」
 廃墟ビルの屋上は、殺風景で寒々としていた。居場所の無い子供たちがエレノアを囲い、必死に懇願する。
 五つくらいの女児が思いつめたようにエレノアの足にすがり、彼女なりの精一杯の力で巻きつくと、エレノアはいとおしさから、そっと背中を撫ぜた。女児のフリルのスカートは、所々赤黒く汚れ、色あせていた。女児の母の血──彼女がその死の瞬間を目撃してしまったのを思い出し、力強く抱き締める。
「痛いよ、エレノア」
 女児はそう言って笑った。
「ごめん……、ごめんね、私、行かなくちゃ」
「行っちゃうの?」
 子供たちが次々に寄る。
「行かないで」
 別れ際に付き物な在り来たりの言葉が、エレノアには鋭いナイフのように感じられた。



3・エレノア」より抜粋